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Camino de Santiago 11:メセタの大地つづく

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果てしなく続くメセタの大地をビーチサンダルで歩いているうちに、
サンダルは一気にすり減り、石や草にあたって足は傷だらけ。
おまけに足の指の間も傷ついて、気付いたら血だらけに・・・。

途中で出会ったスイス人フォトグラファーのアドヴァイスもあって、
やはりもう一度、靴に履き替えることにした(彼女はなんとスイスから
すでに2ヶ月も歩いているというツワモノでした)。

足首に湿布をはったりタオルをあてたり、靴紐も最大限にゆるめて、
何とか患部への衝撃が少なくなるよう、あれこれ工夫。

しばらくこれで頑張ったけれど、ペースダウンは避けられない。
しーちゃんに先に行ってもらい、そのうち他の巡礼たちの姿も
見えなくなった。

さて・・・。
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しんと静まり返った大地。
前にも、後ろにも、人っ子一人いない。

あるのは、圧倒されるくらいの威圧感で迫ってくる大空と、
一面に広がる大地のみ。

この靴では、もう一歩も前に進むことができず、道の真ん中に
座り込む。

でも、不思議と悲壮感はなかったのです。
空を見上げると、この果てしない世界を、自分が独り占めしているような、
そんな気がした。

ひたすら空を、ひたすら大地を、この世に自分しかいないみたいに
ひたすら眺めたことは、いままでなかった。

圧倒的な大地の力の前に、人がいかに小さいことか。
こんなちっぽけな存在でしかない自分が、どんなにあがいたって、
どうこうなるものでもない。

それでも、こうやって生きているんだなあ、と思った。
目の前に道はまっすぐ続いていて、見えない先が、必ずある。

でも、
そこへは自分の力でしか行けない。
誰も助けになんて来ない。
他の手段なんてない。

それなら、どんなに時間がかかってもいい、
たどり着きさえすればいい。

そう思ったら、気がらくになった。

でもこの靴ではもう歩けない。
裸足にサンダルも、もう限界。

それなら・・・と、あれこれ試した結果、靴下を履いたまま
サンダルを履いてみる。足袋のような格好。
これなら足首の腫れも関係ないし、裸足じゃないぶん足もカバーできる。
急場しのぎの発想だったけれど、とりあえずこの一日を乗り切るには十分だった。

相変わらず人っ子一人いない道をずっと歩いて行くと、
壊れかけて放置されたブルドーザーの上で、しーちゃんが
待っているのが見えた。

心配して待っていてくれたのだけれど、案の定、私の足袋姿に大爆笑。
でも、それで元気が出て、どこまで続くのか全く分からないメセタの道を、
ふたりで黙々と歩いていく。

突然、
目の前がパッと開けて、足元から広がる下り坂の向こうに、
小さな小さな、待ち焦がれたオンターナスの村が姿を見せた。
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「着いたーーー!!!」

思わずふたりで抱き合って喜ぶ。
このときの気持ちは、言葉にならない。

この日、歩きながら思った。
自分が一歩を踏み出さなければ、何も変わらない。何も起こらない。

けれど、どんなに小さな一歩でもいい。
自分が前に進みさえすれば、一歩を踏み出しさえすれば、
待っていてくれる友達がいる。
道は続いていて、笑顔で迎えてくれる人たちが、必ずいる。

それは幸せなことだと思う。

この日、何か言葉では説明のつかない、ひとつの強い意思が、
自分のなかで芽生えたような気がします。
by imabendrot | 2008-09-09 23:10 | Camino de Santiago
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