8月15日、リバディーソ→モンテ・ド・ゴソ、39,2キロ行程。
ゴールを前日に控え、最初の22,7キロの予定に+16,5キロを 追加する。 モンテ・ド・ゴソ 。 ー「歓喜の丘」と呼ばれる丘。 長い巡礼の末、ついにここからサンティアゴの街が見えるのだ。 そのイメージを、想像する。 サンティアゴの街が、とにかく見たい。 この目で、どうしても見たい。 ゴールを間近に控え、サンティアゴに少しでも近付きたい、 その想いが強かったのだと思う。 昼までに22,7キロを終えていた私たちにとって、 プラス16キロというのはそれほど負担でもないように思えた。 「3時間半あれば、行ける」 そう思って、歩き始める。 しかし、これが誤算でした。 ギリギリでもっていた足が、大幅な距離の延長で予想外の 痛みを訴え始めた。 前日から気になっていたアキレス腱の前の部分がいよいよ腫れ、 足首が曲がらない。それを靴でギプスのように固定して、前に進む。 最後の最後まで巡礼を苦しめる急な丘の登り道を、痛みと疲労で 上がらなくなった足にムチ打って、歩き続ける。 途中でとうとう一歩も進めなくなって、ふたりで道路に 座り込んでしまった。 日も落ちかかり、通ってゆく巡礼の姿も、ほとんどない。 「もう少しだよ、頑張ろう」 そう言って腰を上げ、ペットボトルに残った水を分け合って、 ふたたび歩く。 村らしきものが現れ、そのうち「歓喜の丘」のモニュメントが、 遠く丘の上に建っているのが目に入った。 至近距離に近付いたゴソの丘へ向かって、今度は限りなく 確信をもって、一歩を踏み出す。 最後の、本当に最後の坂を登りながら、思わず涙が込み上げてきた。 「ここを登りきれば、サンティアゴが見える」 胸がいっぱいだった。 痛みと疲労で身体はボロボロで、でもあの熱く込み上げてくる 想いと、静かに押し寄せて来る感動は、言葉にならない。 この日は文字通り、本当にベットに倒れ込むようにして、 でもどこか満たされた思いで眠りにつく。 明日は、ついにサンティアゴのカテドラルが待っている。 サンティアゴ・デ・コンポステーラまで、あと4,7キロ。
by imabendrot
| 2008-09-14 19:06
| Camino de Santiago
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