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Camino de Santiago 29:Monte do Gozo<歓喜の丘>へ

8月15日、リバディーソ→モンテ・ド・ゴソ、39,2キロ行程。

ゴールを前日に控え、最初の22,7キロの予定に+16,5キロを
追加する。

モンテ・ド・ゴソ 。
ー「歓喜の丘」と呼ばれる丘。
長い巡礼の末、ついにここからサンティアゴの街が見えるのだ。

そのイメージを、想像する。
サンティアゴの街が、とにかく見たい。
この目で、どうしても見たい。

ゴールを間近に控え、サンティアゴに少しでも近付きたい、
その想いが強かったのだと思う。

昼までに22,7キロを終えていた私たちにとって、
プラス16キロというのはそれほど負担でもないように思えた。
「3時間半あれば、行ける」
そう思って、歩き始める。

しかし、これが誤算でした。
ギリギリでもっていた足が、大幅な距離の延長で予想外の
痛みを訴え始めた。

前日から気になっていたアキレス腱の前の部分がいよいよ腫れ、
足首が曲がらない。それを靴でギプスのように固定して、前に進む。

最後の最後まで巡礼を苦しめる急な丘の登り道を、痛みと疲労で
上がらなくなった足にムチ打って、歩き続ける。

途中でとうとう一歩も進めなくなって、ふたりで道路に
座り込んでしまった。

日も落ちかかり、通ってゆく巡礼の姿も、ほとんどない。

「もう少しだよ、頑張ろう」
そう言って腰を上げ、ペットボトルに残った水を分け合って、
ふたたび歩く。

村らしきものが現れ、そのうち「歓喜の丘」のモニュメントが、
遠く丘の上に建っているのが目に入った。

至近距離に近付いたゴソの丘へ向かって、今度は限りなく
確信をもって、一歩を踏み出す。
最後の、本当に最後の坂を登りながら、思わず涙が込み上げてきた。

「ここを登りきれば、サンティアゴが見える」

胸がいっぱいだった。
痛みと疲労で身体はボロボロで、でもあの熱く込み上げてくる
想いと、静かに押し寄せて来る感動は、言葉にならない。

この日は文字通り、本当にベットに倒れ込むようにして、
でもどこか満たされた思いで眠りにつく。

明日は、ついにサンティアゴのカテドラルが待っている。

サンティアゴ・デ・コンポステーラまで、あと4,7キロ。
Camino de Santiago 29:Monte do Gozo<歓喜の丘>へ_f0100599_1852052.jpg

by imabendrot | 2008-09-14 19:06 | Camino de Santiago
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