聖ヤコブの聖遺物が発見されたという伝説があるこの街は、ローマ、エルサレムに次ぐカトリック世界三大巡礼地。 この地へ向けて、はるか昔の中世の時代から、数多くの巡礼たちが命をかけてたどった道がある。ヨーロッパ各地から続くこれらの道は、フランスとスペインの国境、ピレネー山脈を越えて1本となり、サンティアゴの地を指し示す。 Camino de Santiago - カミーノ・デ・サンティアゴ、 「サンティアゴ巡礼の道」。 この道が、街のカテドラル(大聖堂)とともに、世界遺産として現在までそのまま残り、世界各国の巡礼たちがやってくる。 この道のことを教えてくれたのは、4年半前のオーストリア・ドイツ一人旅から帰国する飛行機で、偶然隣の席になった初老の紳士だった。 いつも休みが取れるたびにいろんなところを旅するというこの紳士が、 「僕はいつか、スペインのサンティアゴ巡礼の道を歩くことが夢なんです」 と語ってくれた。 「サンティアゴ・デ・コンポステーラには行ったことはあるんですよ。バスで・・・。 でもね、バスに乗っていると、窓からたくさんの巡礼が歩いているのが見える。 リュックを背負って、サンティアゴを目指して、ひたすら黙々と。 なんだか不思議なんです。その姿がすごく印象的で、見ていると、いつか自分も一緒に、あの道を歩きたいという気持ちになるんです」 この紳士が、その後本当にこの道を歩くことができたのかどうか、それは残念ながら分からない。 でも、スペインの「サンティアゴ巡礼の道」という言葉は、なぜか私の記憶に強烈な印象を残して消えなかった。 サンティアゴというひとつの街に向かって、800Kmもの道を徒歩で歩く。 世界中から、そのただひとつの目的、ただひとつの願いに向けて人々が集まる場所。 人が、ひとつの目標を目指して進む場所。 それだけで、なぜか私には十分魅力的だった。 その4年半前の一人旅のときに出会い、意気投合した「ちょみー」、こと 相棒「しーちゃん」と偶然その話題になったのは2年前。 なんと彼女自身も、その4年半前の一人旅のときに興味をもった 小さな村々の美術が、全て「巡礼路」に続いていくのを目の当たりにして以来、 ひそかにずっと憧れていたのだそう。 「いつか一緒に、スペイン巡礼に行こう」 と、そのときに約束した。 あれから2年。私は留学を終え、しーちゃんのペルージャ留学も、 残すところあと半年となった今年の6月。 「イタリアにいる間だったら、時間が取れるかもしれない。 あやちゃんが可能だったら、この夏一緒にスペイン巡礼に行こう」 そんな彼女の一言に、「夏はウィーンで資料調べ」のプランは あっさり変更。 勢いにまかせ、たいした準備も下調べもないままに、まるで何かに 押し出されるように、サンティアゴの道へと出発することになったのでした。 10月上旬締め切りの論文も放って、教授にも内緒で。 3週間、今回私たちの歩いた約530キロの「星の平原」、カミーノの旅は、 いつも明るい輝きと幸福感がギュッといっぱいに詰まった、夢のような 時間でした。 さんざん放っておいたブログですが、この巡礼の旅はちゃんと 残しておきたい、大切な記憶。少しずつ書いてみようと思います。 いつかもう一度、歩くために。
by imabendrot
| 2008-09-02 08:11
| Camino de Santiago
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